
緑の陰
6月9日に梅雨入りした名古屋。入梅とともにしとしとと降る雨に包まれ、街は一気に薄曇りのトーンへと染まりました。そんな憂鬱そうな空模様も束の間、今週は一転して真夏のような日差しと気温。各地では6月としては記録的な暑さとなり、人々の表情にも思わず疲れの色がにじみます。
カラフルな雨傘が並ぶ通りも、気がつけば白や黒の日傘にすっかり模様替え。歩道を行き交う人々は、差し出した日傘の陰に逃げ込みながらも、じっとりとした暑さにうんざりしている様子です。
そんな中、スタジオ前の久屋大通の歩道には、中心に植えられた大きな木々が、こぼれ落ちるほどの青葉を茂らせており、通りに心地よい木陰をつくり出しています。その涼やかな風景に、ふと江戸時代の街道沿いに松が植えられていたという話が思い浮かびます。人の知恵が生み出す“緑の陰”は、今も昔も変わらずに暑さの逃げ場となっているのかもしれません。

6月にしてこの猛暑。夏本番を前に、私たちの身体と心がついていけるのか、思わず空を見上げてしまいます。自然の彩りとその厳しさが混ざり合うこの季節、どうか無理せず、穏やかに乗り越えられますように。